耐圧試験(絶縁耐力試験)とは?手順・流れ・重要ポイントを専門家が徹底解説
高圧受電設備の竣工検査や更新工事で必ず実施される「耐圧試験(絶縁耐力試験)」。
しかし、単に高電圧をかけて「トリップしなければOK」と思っていませんか?
実は、耐圧試験の成否を分けるのは「試験前後の絶縁抵抗測定」です。この記事では、現場で実際に行われている正しい手順と、各工程の目的を詳しく解説します。
この記事の内容
耐圧試験とは? 目的と法的根拠
耐圧試験(絶縁耐力試験)とは、高圧受電設備の絶縁性能を確認するため、通常の使用電圧よりも高い電圧を一定時間印加し、絶縁破壊が起こらないことを確認する試験です。
法的根拠
電気事業法に基づく「電気設備技術基準の解釈 第15条・第16条」により、高圧電路の絶縁性能を確認することが義務付けられています。
【実施タイミング】
・新設時の竣工検査
・高圧機器更新時
・高圧ケーブル敷設替え時
試験の全体フロー
耐圧試験は単独で行うものではなく、「試験前 高圧絶縁抵抗測定 → 耐圧試験 → 試験後 高圧絶縁抵抗測定」の3ステップで構成されます。
STEP1
試験前
高圧絶縁抵抗測定
STEP2
耐圧試験/絶縁耐力試験
(10,350V印加)
STEP3
試験後
高圧絶縁抵抗測定
【STEP1】試験前 高圧絶縁抵抗測定 ― 高電圧印加の「安全確認」
なぜ試験前に測定するのか?
いきなり10,350Vという高電圧を印加するのは危険です。試験前の絶縁抵抗測定には、以下の重要な目的があります。
- 安全性の確認:絶縁不良がある状態で高電圧を印加すると、機器損傷や事故の原因になる
- 基準値との比較:試験後の値と比較するための「ベースライン」を取得
- 試験可否の判断:著しく低い値であれば、耐圧試験を中止して原因調査を行う
測定方法と判定基準
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使用機器 | 高圧絶縁抵抗計(1000V / 5000Vメガー) |
| 測定箇所 | 高圧ケーブル、LBS、変圧器、コンデンサ等 |
| 判定基準 | 一般的に 2000MΩ以上(無限大∞表示が望ましい) |
【ポイント】
測定値は必ず記録しておきます。試験後の値と比較することで、耐圧試験による影響を確認できます。
【STEP2】耐圧試験(絶縁耐力試験)― 10,350Vを10分間印加
試験条件
| 項目 | 規定値 |
|---|---|
| 公称電圧 | 6,600V(6.6kV) |
| 最大使用電圧 | 6,900V(6,600V × 1.15/1.1) |
| 試験電圧 | 10,350V(6,900V × 1.5倍) |
| 印加時間 | 連続10分間 |
試験手順
- 検電・接地の確認:被試験回路が無電圧であることを確認
- 耐圧試験器の接続:高圧コードを被試験回路に接続、接地線を確実に接続
- 監視員の配置:安全区画の確認、関係者以外の立入禁止を徹底
- 昇圧開始:ゆっくりと電圧を上昇させ、10,350Vまで昇圧
- 10分間保持:電圧・漏れ電流を監視しながら連続10分間印加
- 降圧・放電:ゆっくり降圧後、残留電荷を確実に放電
【危険】高電圧につき注意
・10,350Vは人体に致命的な電圧です
・試験中は絶対に被試験回路に近づかない
・放電が完了するまで触れない
合格・不合格の判定
✓ 合格
10分間、トリップ(遮断)することなく電圧を保持できた場合
✗ 不合格
試験中にトリップした場合、または異常な電流変動が見られた場合
【STEP3】試験後絶縁抵抗測定 ― 絶縁劣化がないか最終確認
なぜ試験後にも測定するのか?
「トリップしなかったから合格」で終わりではありません。試験後の絶縁抵抗測定には、以下の重要な目的があります。
- 絶縁劣化の確認:高電圧印加により絶縁が劣化していないか確認
- 潜在的な不良の発見:トリップには至らなかったが、絶縁性能が低下したケースを検出
- 試験の完了証明:試験前後の値を記録することで、適正な試験実施の証拠となる
判定基準
試験後の絶縁抵抗値が、試験前の値と同等以上であること
著しい低下(目安:試験前の80%以下など)が見られる場合は、絶縁劣化の可能性があり、原因調査が必要です。
【重要】
試験前後の測定値を比較記録することで、「耐圧試験を正しく実施し、絶縁に問題がない」ことを客観的に証明できます。
安全対策のポイント
耐圧試験は10,000V以上の高電圧を扱う危険な作業です。以下の安全対策を徹底しましょう。
| 対策項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 監視員配置 | 第三者の接近を防止する専任監視員を配置 |
| 保護具着用 | 絶縁手袋、絶縁長靴 |
| 接地の確認 | 試験器・被試験回路の接地を確実に |
| 放電の徹底 | 試験後は残留電荷を確実に放電してから作業 |
よくある質問(FAQ)
まとめ
耐圧試験は単に「高電圧をかけてトリップしなければOK」という単純な試験ではありません。
耐圧試験の3ステップ
- 試験前絶縁抵抗測定:高電圧印加の安全確認+基準値取得
- 耐圧試験:10,350V × 10分間で絶縁耐力を確認
- 試験後絶縁抵抗測定:絶縁劣化がないことを確認
この3ステップを確実に実施し、記録を残すことで、高圧受電設備の安全性を担保できます。安全第一で作業を進めましょう。
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